歯列矯正・咬み合わせ
咬み合わせの問題で困っている方へ
食事中など、咬み合わせで違和感を感じたことはありませんか?私たちの口の中は想像以上に敏感です。そのため食事中にはすぐに違和感を感じますが、長い間に咬み合わせにズレが生じた場合はなかなか気がつかないこともあります。しかし、歯の高さや位置がわずか0.1mmでも違ってくるとさまざまなトラブルが生じることがあります。
咬み合わせの治療は大きく分けて3種類あります。1つは取り外しできるスプリント治療、次に歯を動かす矯正治療、そして補綴による治療です。これらを組み合わせて治療するのが一般的です。
ここでは当院で行っている「咬み合わせを改善する治療」についてご紹介します。
咬み合わせが悪いとどうなるのですか?
咬み合わせが悪いと特定の歯だけに過大な力が加わって、亀裂が入ったり割れてしまうことがあります。歯周部ならば回復可能なことが多いが、歯根が割れると抜歯しなければならなくなります。また、歯そのものだけでなく歯を支えている骨など歯周組織に大きな負担がかかって、歯周病のある方は進行を早めてやがて歯がグラグラしてきます。
咬み合わせのバランスが悪いと頭や頸部(首)、顎の特定の筋肉が緊張したり、過大に動くことで正常に機能しなくなることがあり、頭痛や肩こりを引き起こす原因になります。顎や口腔内に張り巡らされている神経の多くは、お母さんのお腹のにいる時期のエラ(鰓弓)から生まれた、脳神経系の三叉神経(第5枝)、および顔面神経(第7枝)、舌咽神経(第9枝)、迷走神経(第10枝)、副神経(俗称肩こり神経、第11枝)に由来しているため、咬み合わせの不具合を調整するということはこれらの脳神経系のバランスを調整することでもあるので、良い調整結果は脳機能を高めることができます。
咬み合わせが改善されることで頭痛、肩こりが改善し、頚椎と腰椎のバランスが良くなるため、腰痛も改善することがあります。聴覚神経(第8脳神経)などのバランスが良くなるとめまいや雑音が軽減したり、個人差によりますが飛蚊症が軽減したりよく見えるようになったり、雑音が減って耳がよく聞こえるようになるなどの頭頚部症状の改善が得られることがあります。
【バイオミメティックビルドアップ】生えたての現状に近い自然歯に近づける治療法
バイオミメティックビルドアップは、咬み減り(咬耗)や摩耗によって失われた歯質をバイオミメティックアプローチ(生体模倣学=健全な軟組織・硬組織を忠実に模倣すること)で元のように作り上げます。
咬み合わせの部分の治療で、かつては型を採って金属を詰めたり被せるために大きく歯を削る必要がありましたが、
健康な部分まで削るのは、金属が中心の歯科治療だった時代は、歯にしっかり取り着けるために形を整える必要がありました。金属は歯に専用の合着剤で装着しますが、歯に完全に接着しているわけではないので、その漆喰にヒビが入るとその隙間から唾液と共に虫歯細菌などが浸入してきて虫歯になります。
バイオミメティックビルドアップは、必要最低限の処置で虫蝕感染部を除去したり、神経の治療を行ったあとに接着レジンを盛り上げて基の歯に近づけて作ります。しっかり接着する処置なので、接着が維持されている間は安全で、自然歯と同じ色に仕上げられるので審美的に美しい治療法です。経時的に摩耗したり、すごく硬い物を咬むと欠けることがあります。そういった場合はラミネートベニアを咬む面に特別な設計をしたり、部分的にかぶせたりすることで対応していきます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)と呼ばれる透明で取り外し可能なマウスピースを用いて行う矯正治療方法です。
誰にも気づかれず、取り外し可能な装置で治療が可能です。
矯正装置自体が透明なので装着しても目立ちにくく、取り外しできるため食事や歯磨きが普段と変わらず行えます。矯正装置の洗浄も簡単なため衛生的です。
通常の矯正はワイヤーを用いて徐々に歯を動かしますが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は定期的に新しいマウスピースを交換しながら徐々に歯を動かします。
従来のワイヤーを用いた矯正と比べて違和感を覚えにくく、話しづらい問題がない、あるいは矯正装置やワイヤーによる口内炎などに影響されにくい点がメリットです。
※マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名:インビザライン 完成物薬機法対象外)は未承認完成物薬機法対象外の矯正歯科装置、医療機器法および歯科技工法上の対象外の矯正歯科装置に該当し、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
治療段階に応じた矯正装置を作成するために、iTeroと呼ばれる3Dデジタルスキャナーを用いて歯の型採りを行います。その後、得られたデータをコンピュータ上で歯の移動シミュレーションし、矯正装置を作成します。3Dデジタルスキャナーによる撮影は1度で済み、型採りを何回も行う必要はありません。
従来の矯正装置との比較
従来のブラケットやワイヤーを用いた矯正と異なり、痛みを感じにくく、取り外し可能なため無理なく食事や歯磨きが行えます。矯正装置自体が透明なので周囲に気づかれずにくい状態で矯正治療を行い、歯並びを整えることができます。
また、金属を使用しないため、金属アレルギーの方も矯正治療を行うことが可能です。
口腔内スキャナー(デジタル印象採得装置「iTero」)
当院では「iTero」と呼ばれる3Dデジタルスキャナーを使用しています。口腔内を素早く連続して3次元でスキャニングし、歯及び歯列の画像データを取得します。
従来は粘土のような材料(印象材)をトレーに盛って歯を押し込むように歯型を採りましたが、3Dデジタルスキャナーは、歯及び歯列をスキャンしてデータ化する光学スキャニングが可能になりました。
印象材を用いた型採りに生じた「印象材が収縮する」「石膏が膨張する」といったことがなく、より形態が再現されたデータを取得できます。スキャナーの先端は口の中に入りやすく、そのまま口の中で動かしても遜色ない構造になっており、お口を開けるだけでデータの取得が完了します。
使用するスキャナーの先端は取り外し式で滅菌消毒可能なため、使用時は常に清潔なものを用います。また、歯型を採る際に「吐き気がする」方の負担をある程度減らせます。
取得したお口の中の3Dデータはコンピュータで解析を行い、治療開始から治療終了までの治療計画を作成します。
【矯正処置】装置を使った咬み合わせ治療(インターディシプリナリーアプローチ:高度専門連携治療)
歯列矯正は限局した(簡単な)治療以外は、当院と協力医療してくださる矯正専門医の中でもエキスパートの先生と協力して矯正処置を行います。
スプリントを使った咬み合わせ治療(力学的不調軽減治療を含む)
歯ぎしりにはさまざまな原因が考えられますが、咬み合わせの異常や不適合な被せものなどが原因の場合は、それらを調整すれば改善する場合もあります。
その外の心因性・ストレス性によるものもあり、仕事中や就寝中に歯ぎしりをしたり、食いしばることでストレスを軽減させていることもあります。この場合は、スプリントを作成して咬み合わせの改善処置を行い様子を診ていきます。
歯ぎしりやくいしばりの力が過ぎる場合は、この装置にヒビが入ったり壊れて自分の歯や歯周組織、顎の関節を守ってくれます。装置は壊れても修理することも可能ですし、再製することもできます。
ナイトガード、プロテクションスプリントなどは自分の歯の身代わりに、装置が咬耗したり、壊れて動く道具です。削れたり、割れたり、穴が開いたら、よく機能しているなと考えられる道具なのですから、壊れるのが一般的です。現代は長寿時代になってきているので、咬合系、顎口腔系の劣化を少なくするためにアンチエイジング効果を得るために事前に使用することもあります。